キャリアモデル 総合職の先輩のキャリア

旧日本郵政公社入社後、郵便貯金事業本部企画部から立ち上がった民営化準備室で郵政民営化に向けた実務に携わる。民営化後はIT戦略室(現:IT戦略部)、営業企画部などに勤務。2014年4月より現職。

IT戦略部 2004年入社

田積 克之Katsuyuki Tazumi

学生時代は法律家への道を第一志望としつつも、ビジネスの世界にも関心があった田積。「後悔しないように、まずは一度トビラを叩いてみよう」。そんな思いで開始した就職活動で、日本郵政公社と出会った。

Episode 1  民営化業務では、若手も
即戦力として働かせてもらえた

司法の世界に進むか。社会に出るか––
踏み出して、郵政公社に出会った

「2002年のサッカーの日韓W杯などで使われた長居競技場が有名ですね」。大阪市南東部の東住吉区で育った田積克之は、大学進学とともに東京にやってきた。学生時代は法律を学び、司法の世界に進もうという気持ちが強くあった。だが、就職活動のシーズンを迎え「すぐに社会に出るのも面白いかもしれない」と考えるようになる。そこで出会ったのが日本郵政公社だった。田積は郵政公社の可能性に惹かれたという。当時叫ばれていた「郵政民営化」は、将来を考える学生にしてみれば雲をつかむような話で、ともすれば不透明なイメージを抱いてもおかしくはなかったはずだ。だが田積はこう考えた。
「法律を学んでいたというのもあるのですが、活動に制限をかける法から解き放たれるということは、シンプルに考えれば『できないことが減り、できることが増えていく』ということ。本質的には、可能性を広げるもので見通しは明るいと思ったんです」
全国の情報・物の流れとお金の流れを掴んでいる事業グループであるという部分にも可能性を感じた。
「お金の移動には商流がついて回ります。その商流に近い場所にいること。その上でビジネスを展開する上での基盤もある。それならば他社と差別化を図ったいろいろなサービスができるはずだと考えていましたね。入社して10年たつと、そう簡単な話ではないとわかってくるのですが(笑)」

手探りで始まった民営化への歩み
それは刺激的な日々だった

そんな思いを抱き2004年に入社した田積は、金融総本部・郵便貯金事業本部・企画部に配属された。当初は、民営化を含めた想定される様々な制度変更がもたらす影響についての調査に取り組んだ。その後、同部から立ち上がった民営化準備室のメンバーとなり、年々現実味を帯びてきていた郵政事業の民営化プロジェクトに突入していく。民営化によって実際には何がどう変わるのか。どんな作業が発生するのか。それを具体的に検討して準備を進め、さらには実施段階に入ってからはプロジェクトを管理していく役割を担っていく。
「様々な事業を展開していけるようになるという可能性が入社の動機だったわけですが、最初に取り組んだのは制度の変更に向けた準備作業、タスク。そこに違いはあったのですが、制度が変わり会社がそれに対応した先に、間違いなく新しい可能性があると感じながら働けていたとは思います」。もうひとつ、当時を振り返って田積が恵まれていたと感じるのは、キャリアを問わず多くの人がフラットな状態で携われる仕事だったことだという。
「民営化への対応には基本的にノウハウがありません。だからみんな横一線で考えることも多くありました。ブレーンストーミングから始まり、僕のような当時若手だった社員もどんどん発言が求められたし、業務に関わらせてもらえる。郵政のような脈々と続いてきた歴史ある事業では、経験は非常に重要です。それがなければ太刀打ちできない部分も多々あると思います。それなのに、僕らは自分の頭で考えて動いていくようなチャレンジが許された。正直に、面白い!と思いながら仕事をさせてもらえたのは幸せでした」

田積は民営化準備室のメンバーとして、巨大プロジェクトを動いていくのを目の当たりにする。その密度の濃い何にも替えがたい経験は、田積にとって、大きな、本当に大きな糧となった。

Episode 2  忘れられない、
2007年10月1日の朝の風景

取り組んで骨身に沁みたプロジェクトの巨大さ

民営化に向けた準備には約2年携わった。 「今振り返ってみて思うのですが、ゆうちょの民営化プロジェクトは本当に大きな仕事だったと思います。お客さまサービスなど通常必要な業務を続けながら、公社時代に提供していた郵貯事業を民営化後の銀行の事業に適応するよう業務基盤、システム基盤を全面的に創りなおし、同時に組織の分社化にも対応するのですから」
業務において何かを変更しようとすれば、関係してくるのは職員何万人という規模になる。民営化に向けた取り組みでは、そうした変更が400、500という数で存在した。期日も厳然と存在する。プロジェクトマネジメントとしての難度は、想像し難い高さにある。
「無理難題も、苦労も、怒られることも、励まされることも、本当に色々にありました。でも若手だった当時に密度の濃い経験ができたことは自分の財産になっています。当時、様々な調整を求めて侃々諤々で議論した他部署の人たちとも結果的にいい関係が築けましたしね。今やっている仕事でもそういう“戦友”との関係が生きる場面はたくさんあります」
日本郵政グループが発足した2007年10月1日のことはよく覚えている。会社に泊まり朝を迎えた。経営陣による最初の会議を、疲れと高揚感の中で見つめていた。
「全ての郵便局まで、グループを挙げた一致団結で、あの日を無事に迎えられた成功体験が、どんな変化やチャレンジがあっても、ゆうちょ銀行なら、日本郵政グループでなら、できるんじゃないかと思える糧になっています」

新たな舞台はIT戦略部
「筋肉質」なシステムづくりに挑む

民営化という大業務を終えた田積が足を踏み入れた次のフィールドは“IT”。経営企画部IT戦略担当マネジャー(後にIT戦略室マネジャー)として、耐用年数が迫っていた銀行の基幹システムの更改を含む、はじめてのIT投資計画策定に取り組んだ。システム更改にあたっての大きなテーマは、コストを削減しながら、それでいても信頼性も確保された“筋肉質な”ITの計画づくりだった。さらに、新システムの計画を策定するだけではなく、その計画をプロジェクトとして成功させるためのITガバナンス(統制)の仕組みづくりにも取り組んだという。
「もともと、法学部出身ですし、それまでの経験を通しても、プログラムを書けるようなITの専門知識は全くありませんでした。でも、ITが世の中をどう変えるのかについては強い関心がありましたし、基本的にIT戦略というのは投資戦略であり資源の配分。業務の全体像を鳥瞰し、すべきことを考え着実に進めていくという点では、特に専門知識がなかったことをハンディだとは思いませんでした」
プロジェクト毎の管理・統制を中心にスタートしたITガバナンスの仕組みは、後に、エンタープライズアーキティクチャ(コスト、採用技術、セキュリティ対策を含む包括的な観点をカバーしたITの全社最適化)の仕組みに発展させ、現在もそのプロセスが運用されているという。
銀行におけるITの役割は外からなかなか見えにくいというが、2009年の全銀システムへの接続などを実現しているのもITだという。それまでゆうちょ銀行と他の金融機関との間の相互送金に制限があったが、接続を通じて広く解消された。これについては、ご記憶している方も多いことだろう。

民営化後も取り組むべき課題は数多くあった。まだまだ創業期にあったゆうちょ銀行で、田積はITと営業に関する戦略策定に挑む。2014年4月には一度離れたIT戦略部にグループリーダーとして復帰。「成長のためのIT」を模索している。

Episode 3  ゆうちょ銀行の成長を、
さらに加速させるために

お客さまの多様なニーズに応える営業方針の設計に取り組む

約5年にわたりIT戦略部で業務に取り組んだ後、2012年7月より田積は営業企画部でマネジャーを務めた。
「当時、民営化を経て商品の数が著しく増えた結果、ゆうちょ銀行の営業の仕組みも変革を求められていました。対話を通じお客さまそれぞれのニーズを聞き出し、それに合った商品をおすすめする柔軟性が必要になっていたんです」
ゆうちょ銀行では営業活動にはタブレット型の営業ツールが使われているが、そのツールの改善、さらにそれを活用して営業を進めていく上での手順などを設計する––というのが田積が具体的に取り組んだ業務だった。
翌2013年の8月から11月にかけては、海外企業派遣も体験した。
「アメリカのアセットマネジメントの最大手企業で、最先端の資金運用技法や投資家目線から見たグローバル企業、国内企業のコーポレートガバナンスを学ばせていただきました。東京にあるオフィスのほか、ニューヨーク、サンフランシスコ、プリンストンなどの海外のオフィスでも2ヵ月ほど研修に参加しました。銀行と資産運用会社という違いはあるのですが、お客さまの信頼をお預かりするという部分では共通する部分もある。アナリストや運用を手がけるファンドマネージャーの話などの中にも、新しい発見はたくさんありました」
もともと長期の休みにはよく海外旅行に赴いていたという田積。アメリカでの日々は、刺激的でかつ楽しいものだったと回想する。

IT戦略部に復帰
新テーマは「成長のためのIT戦略」

企業派遣を終えた翌年、2014年の4月に田積はIT戦略部にグループリーダーとして復帰する。システムの更改は2013年に完了しており、復帰したIT戦略部は前回の在籍時とはかなり異なったフェイズを迎えているという。
前回は耐用年数の近いシステムの更改やコストダウンというテーマがはっきりしていたのに対し、現在はゆうちょ銀行が成長するためにITをどう生かしていくかという決まった形のないテーマに取り組んでいるのだ。前回求められたのが「守りのIT戦略」とすれば今回は「攻めのIT戦略」が必要になっている。
「グループのメンバーと協力して、先進IT技術が社会に与える影響の調査を行うほか、上場を見込むゆうちょ銀行が成長のために注目するべき技術エリア、取組の調査や検討を行っています。さらにITに関する全行の投資計画の策定、ITガバナンスに関する改善検討に取り組んでもいます。2014年からは訪米調査を行うなど、国内だけでなくグローバルな視点での仕事も始めています」
計画の策定や、戦略の検討などには単一解がない。しかし競争力をもたらす答えを導きだしていけるように普段から心がけているのは、先端のIT技術のディテールに対する“ズームイン”と、経営上の価値やユーザーの目線への“ズームアウト”を繰り返し常に全体最適化を意識することだ。複眼的に考えるために様々な情報源に当たり情報収集を図るのはもちろん、チームのメンバーそれぞれの視点も尊重するようにしている。
「仕事では考えが違う、すぐにはわからないことがあるというのが普通。当たり前ではありますが、幅広く考えを聞いたり、ディスカッションが出来る、オープンな環境を作ることを心がけています」
どのような業界でもIT戦略は企業の行く末を左右する。田積とチームのメンバーの想像力が、未来のゆうちょ銀行の可能性を大きく広げていくはずだ。

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これまでに培ったお客さまとのつながりを大切にしながら、お客さまの人生のあらゆるステージでお役に立てる企業グループを目指します。

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日本郵政グループには、「総合職」、「地域基幹職、エリア基幹職、業務職・営業職」、および「一般職」の三つの採用区分があります。

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日本郵政グループ各社の仕事は多種多様ですが、そのいずれにも共通していることは、この国のすべての人のために汗を流すという使命感であり、お客さま一人ひとりからの信頼こそがすべての仕事の源にあるという自覚です。働き方は生き方です。日本郵政グループでは、いろいろな支え方で、たくさんのプロフェッショナルが活躍しています。